高市早苗政権エピソード2:人事と権力基盤

高市早苗首相の就任後の人事と権力基盤について解説する。
竹中 治堅 2026.04.30
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官邸人事

 高市早苗首相は2025年10月21日に首班指名を受け、その後、閣僚人事などを行い高市内閣が発足する(高市早苗首相誕生の過程については「高市早苗政権エピソード1:高市早苗首相誕生まで」参照)。本稿では高市早苗首相の就任後の人事と権力基盤について解説する。

 官邸の人事から見ていこう。高市首相は内閣の要の官房長官には2021年に首相が総裁選に出馬した際に選挙対策本部の事務局長を務めた木原稔元防衛相を任命した。官房副長官には衆議院議員から尾崎正直氏、参議院議員から佐藤啓氏を充てた。二人とも2024年の総裁選後に首相が次の総裁選に備えて若手・中堅議員を集めて作った高志会のメンバーである(『日本経済新聞』2025年10月5日)。事務の官房副長官には前警察庁長官の露木康浩氏を選任した。

 政務秘書官の一人には前経産省事務次官の飯田祐二氏を起用する。首相は当初、安倍晋三首相の政務秘書官を務めた今井尚哉氏に政務秘書官就任を打診したものの、今井氏はこの要請を受けず、代わりに飯田氏を推薦したと報じられている(『日本経済新聞』2025年10月30日)。報道が正しいとすれば首相は官邸経験の長い今井氏を秘書官に据え、政権運営の支柱にしたかったのだろう。

 高市首相は危機管理投資・成長投資などの旗を掲げ、産業政策を重視する。今井氏の推薦の有無に関わらず、首相が個別の産業政策に重きをおけば、多くの産業分野を所管する経産省でトップを務めた飯田氏が政務秘書官に就くのは自然である。一方、今井氏は内閣参与に就任する。もう一人の政務秘書官には自民党職員の橘高志氏を起用した。橘氏は首相が2021年から政務調査会長を務めた際に、政調会長室長を務めた(『神戸新聞』2025年10月23日)。

首相の意向

 次の三つの官邸人事の事例から判断すると首相が人事を重視していくことがよくわかる。

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