総選挙の争点⑴:24年10月総選挙以降の自民党政権の実績
総選挙の争点:実績と公約
1月23日に高市早苗内閣は衆議院を解散、1月27日に総選挙が公示された。2月8日総選挙が行われる。今回の総選挙で我々国民が判断を求められる点について2回に分けて議論したい。
高市早苗首相は我々に引き続き自民党と日本維新の会に政権を委ねることを求めている。
一般的に総選挙の際に有権者が判断を求められるのはこれまでの①政権の実績と②与党をはじめ各党が約束する今後の政策=公約である。現在メディアの多くは、選挙の争点として、食料品消費減税など今後の政策に注目する。また、総選挙の時期、高市早苗首相と自民・維新連立政権を信任するかどうかを取り上げることもある。ただ、政権実績については十分取り上げているかどうかは疑問である。
与党が引き続き政権を担うことを訴える以上、有権者が判断すべきなのは、今後の公約だけでなく、これまでにどのような実績を残してきたかである。本稿では、前回総選挙以降の自民党政権、すなわち石破茂内閣および高市早苗内閣の実績を検証する。
自民党の実績=石破茂内閣・高市早苗内閣の実績
与党の実績は内閣の実績とほぼ同じである。従って、自民党の実績として具体的な対象となるのは石破茂内閣の実績と高市早苗内閣のこれまでの実績である。日本維新の会は政権に加わってわずか3ヶ月であり、維新の実績として評価されるのは高市内閣の政策となる。
ただ、石破内閣が少数与党内閣であり、野党の要求に配慮しながら、予算や税制改正を策定した。その際に、維新の要求が実現することもあった。したがって、野党時代の維新が策定に関わった政策も実績として扱うのが適当である。
この間、参議院議員選挙が行われたので前回総選挙まで遡る必要はないと考え方もあるかもしれない。しかしながら、参議院議員選挙は政権の核を決める選挙ではない。政権を担う主要政党を決めるのは衆議院議員総選挙であり、評価対象時期は前回総選挙からこれまでとするのが適当である。
そこで本稿では自民党と日本維新の会のこれまでの実績について論じたい。また、それに先立って、我々が判断を求められる重要なポイントとして、総選挙の時期、高市早苗首相と自民・維新連立政権を信任という事柄についても議論する。長くなってしまったので、公約については稿を改めて議論する。
総選挙の時期と選挙期間の長さ
まず、我々が判断を求められるのは総選挙の時期と選挙期間の長さについてである。今回の総選挙の問題は、前回総選挙が行われた2024年10月から1年3ヶ月しか経っておらず前回総選挙との間隔が非常に短いということである。また解散から16日後に総選挙が行われ、この間隔も短い。今回の選挙で、我々国民は前回総選挙から時間が経っていないにも関わらず選挙が行われること、選挙期間が短く設定されたことについても判断が求められることになる。
高市早苗首相と自民・維新連立政権への信任
次は高市早苗首相と自民・維新連立政権を信任するかどうかである。高市首相は「高市早苗に、国家経営を託していただけるのか。国民の皆様に直接、御判断を頂きたい。」と解散・総選挙を行う理由を1月19日の記者会見で説明した。この説明は半分正しい。首相が誰になるかという意味では正しいもの、総選挙は、人物選択だけでなく、与党に引き続き政権運営を委ねるかどうかを問う場でもあるからである。
自民党と日本維新の会が衆議院で過半数を維持すれば、自民・維新連立政権が続き、高市首相が続投することは確実である。両党が過半数を割れば、さまざまな可能性が出てくる。現在の自民党と日本維新の会が少数与党として連立内閣を続けるかもしれない。新たな政党が連立に加わる可能性もある。自民党が大敗すれば、自民以外の政党党首が非自民連立内閣が成立する可能性もある。
総選挙で判断が求められているのは誰に首相の地位を委ねるかということだけではない。与党に引き続き政権を任せるのかどうかの判断も求められている。この場合、重要となるのはすでに述べたように前回の総選挙からこれまでの与党の実績と与党のこれからの約束である。繰り返しになるが、注目すべきは24年10月から25年10月の間の石破内閣の実績と25年10月から26年1月までに高市内閣の実績である。
3ヶ月の政治空白
まず政策各論の議論に移る前に、政策に関連する自民党の実績として覚えておく必要があるのは昨年7月の参議院議員選挙後の政治過程である。昨年7月20日に参議院議員選挙が行われた後、自民党は党内抗争を行い、9月7日の石破首相退陣表明、10月4日の総裁選などを経て、10月21日に高市早苗内閣が発足するまで3ヶ月政治空白を産んだことである。国際情勢は急速に変容し、経済情勢も流動的である。この重要な時期に3ヶ月も自民党がお家騒動のために政策を停滞させたことについて我々は判断するべきである。
石破・高市両内閣の実績:外交・安全保障
それでは政策として外交・安全保障から始めよう。日本の外交・安全保障で重要なのは日米関係である。石破・高市両内閣は日米関係を安定的に維持した。25年2月に石破茂首相は訪米、トランプ大統領と日米首脳会談を開き、日米両国はアメリカが拡大核抑止を含め、日本の防衛にコミットすること、尖閣諸島に安保条約が適用されることを確認した。また石破内閣は2025年4月からトランプ政権と貿易交渉を開始、米国に5500億ドル投資する資金を融資などによって提供することによって関税を一律15%に抑えることに成功する。
26年10月にはトランプ大統領が来日し、高市早苗首相と首脳会談を開く。両首脳は日米安全協力を深めることで合意する一方、高市首相は「防衛力の抜本的強化」と「防衛費の増額」を約束した。また、高市首相とトランプ大統領はアメリカの空母「ジョージワシントン」を訪問し、日米両国の緊密な関係を示した。
このように石破・高市両内閣とも日米関係を安定的に維持してきた。特に関税を一定水準で抑えたことは評価されるべきである。その一方で、防衛予算を拡充してきた。石破首相は2025年度当初予算で7500億円増の8.6兆円の防衛予算を確保した。さらに、高市首相は25年度補正予算で8400億円を計上する。この結果、安保関連予算と合わせ、当初2027年度に達成する予定であった「防衛力の抜本的強化とそれを補完する取組」のための予算基準をGDP2%することを前倒しで達成する。
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