高市早苗政権エピソード5:「解散」首相はなぜ減税を公約することを余儀なくされたのか

高市早苗首相が解散を決断した理由を説明する。さらに食料品にかかる消費税率をゼロにすることを実質的な公約とする経緯及び理由を分析する。直接的な要因は中道改革連合の結成と連合が食料品消費税減税を公約としたことである。ただ、長期的に見れば、高市首相は、国政選挙における野党の度重なる減税要求や、国民の所得水準が低下する中での食料品の価格上昇のために食料品消費税減税を公約として掲げることを余儀なくされた。
竹中 治堅 2026.08.11
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はじめに

 「私は、本日、内閣総理大臣として、1月23日に、衆議院を解散する決断をいたしました」2026年1月19日18時から首相官邸で始めた記者会見の冒頭で高市早苗首相はこう宣言した(「高市内閣総理大臣記者会見」26年1月19日、首相官邸HP)。1月23日に高市内閣は衆議院を解散、2月8日に総選挙が行われる。総選挙で自民党は316議席、日本維新の会は36議席を獲得、与党が大勝した。本稿では首相が解散を決断した理由について説明する。その上で、食料品にかかる消費税率をゼロに引き下げることを実質的な公約として打ち出す経緯及びその理由について分析する。直接的な要因は中道改革連合の結成である。首相が衆議院を解散する考えが明らかになると、立憲民主党と公明党が合流して中道改革連合を立ち上げることを決め、総選挙の公約として、食料品消費税減税を掲げたために、首相は対抗して、食料品消費税減税を打ち出した。

 長期的に見れば、高市首相は食料品消費税減税を公約として掲げることを余儀なくされたと言える。背景には消費税率10%引き上げ後の国政選挙における野党の度重なる消費税減税公約、近年の日本の維新の会や立憲民主党による食料品に絞った税率ゼロ要求がある。そしてより大きな要因としては、国民の所得水準が低下する中で、2022年以降、物価、特に食料品の価格が上昇し、国民の不満が蓄積していることがあった。

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